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林原の粉飾

 

株式会社 林原

株式会社 林原
株式会社 林原商事
株式会社 林原生物化学研究所
2011年2月2日、東京地方裁判所に対して会社更生手続開始の申立て
2011年3月7日午前11時、会社更生手続開始の決定

   

 

 

週刊東洋経済2011年2月11日号 東洋経済 企業戦略 引用

林原のはがれたメッキ、ウソの上塗り30年 

 

異例の倒産劇だった。2011年1月25日、私的整理の一種である事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)が受理された岡山のバイオ企業、林原(はやしばら)。が、わずか1週間後の2月2日の債権者集会でADRでの再建を断念し、会社更生法適用への切り替えを表明した。

 

 今回、会社更生法を申請した中核3社は、売上高が702億円で負債総額が1318億円。債務超過は500億円以上に上る。

 

 1961年に急逝した父の跡を継ぎ、19歳で就任した林原健・前社長(69=写真)。経営方針は「利益の7割を不動産、3割を研究開発に投資する」というもの。不動産からの安定収入で、大企業にはできない10−20年の長期戦略の研究開発に経営資源を投下し、オンリーワンの製品を作り出すという異色の経営手法だ。

 

 実際、がん治療薬「インターフェロン」や人工甘味料に用いられる「トレハロース」など、世界的な製品を世に送り出してきた。戦前からの水あめ事業の利益で買い集めた不動産は膨大で、中国銀行の10%強の株を持つ筆頭株主でもある。

 

 今回の経営破綻の発端は、昨年11月にさかのぼる。メインバンクの中国銀行が資金繰りの厳しさを注視し、さらなる融資には経営の詳細を知りたい、と林原に説明を求めた。3−4年前から、メガバンク3行は監査の不透明性から、融資を軒並み減額。一方、中国銀行の融資額は、4年で330億円から447億円(昨年12月末)まで膨れ上がっていた。

 

 林原は中国銀行との話し合いの中で約30年前からの不正会計を明かしている。その間の架空の売掛金は300億円で、200億円の簿外債務も発覚した。

銀行関係者によると、経営状況が急速に悪化したのは1988年から2001年。この間、赤字隠蔽のための不正会計が行われ、有利子負債も約1000億円増加。うち、研究開発費に300億円、土地購入にも同額を充当。

 

 トレハロースなどが軌道に乗った01年以降は、黒字に転換しても、身の丈を超えた過去の過剰な投資が首を絞めたようだ。メインの支援だけでは手に負えず、ADR申請に向かった。

 

紛糾した債権者集会

 ADR成立には、再建計画に対し、全銀行の合意を取り付ける必要がある。しかし銀行間には温度差があり、当初から難航が予想された。当日出席した債権者によれば、中国銀行や準メインの住友信託銀行がADR申請直前に担保保全に走ったことに、みずほ銀行など他行から批判の声が上がった。

 1時間の協議後に休憩をはさみ、再開直後に、「銀行間の調整は困難」との理由で、林原側からADRを取り下げ、会社更生法へ移行することが伝えられた。

 

 事態の急展開に、「調整はこれからのはず」「出来レースか」など、下位行から不満が噴出。休憩時間中には、取引銀行の支店にADR取り下げの書面がファクスで届けられるなど、粛々と事態が進行していた。

 会社側の説明では、ADR申請が明るみに出て以降、仕入れ代金の支払いなど取引条件が一気に悪化。商品提供もままならない状況で、調整に時間をかけられないと判断した。

 商取引を継続しながら、金融機関と解決策を探れるというのが、ADRのメリットだ。会社更生に詳しい大塚和成弁護士は「長年の粉飾決算が発覚した以上、信用が失墜するのは当然。今回の事例で、ADRの手法自体が本当にふさわしかったのかどうか疑問」という。

 

焦点のスポンサー探し

 今後は債務の圧縮と、スポンサー企業との交渉が焦点である。それぞれ研究開発と実務を一手に担ってきた社長の健氏、弟で専務の靖氏(64)は辞任。新社長に就任した福田恵温氏(58)は研究畑一筋に歩んできた人物で経営手腕は未知数だ。

 「昭和からの長きにわたって不適切な会計を繰り返してきた」(林原氏)。不正経理の実態解明のため、社外には調査委員会も設置する。真相究明はこれからだ。

(麻田真衣 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2011年2月11日号)

 

 

 

(2011.8.2 ロイターニュース 布施太郎、江本恵美)

会社更生手続き中のバイオ関連企業、林原(岡山市)の再建スポンサーに、長瀬産業(8012.T)が内定したことが8/2、明らかになった。複数の関係筋が明らかにした。買収金額は800億円程度とみられる。

 7月中旬に行われた最終入札には、韓国の食品メーカー、CJグループが国内ファンドのユニゾン・キャピタル(東京都千代田区)と共同で入札したほか、群栄化学工業(4229.T)もPEファンドのポラリスと共同で入札したが、最終的に長瀬産業が競り勝った。

 

 林原のスポンサー選定をめぐっては、今年4月から7月中旬までに3度の入札が実施され、候補が絞り込まれて行った。当初、買収金額は400億円規模とみられたが、林原のトレハロース技術が評価され価格は段階的に引き上げられたもよう。入札プロセスの過程で、大手食品メーカーや商社などを含む複数の事業会社が、プライベート・エクイティ・ファンドと組んで買収を検討してきたことも、金額がつり上がった背景のようだ。

 

 入札のファイナンシャル・アドバイザーはGCAサヴィアングループ(2174.T)。林原が今年2月に会社更生手続きを申請した際の負債総額は約1300億円だった。京都駅前に保有していた京都センチュリーホテルについては、7月末に京阪電気鉄道(9045.T)が買収した。

 

 トレハロースは冷凍食品、レトルト食品、化粧品や入浴剤などに使われる糖のことで、林原が世界で初めて、デンプンから安価に大量生産する技術を確立した。

 

 東京商工リサーチによると、林原はこうした機能性糖質の技術を武器に、食品から医薬品、健康食品などにビジネスの領域を拡大したが、創業以来、同族経営で外部チェックが入りにくかったうえ、不正経理が続けられていたことも経営破たんの背景にあったという。林原の2010年10月期の売上高(単体)は約281億円だった。

 

 

 

 

 

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